歯科医院の受付やドラッグストアで、「歯科医院専売品」と書かれた歯磨き粉を目にしたことがある方も多いでしょう。市販の製品に比べて価格が高めに設定されていることが多く、「一体何が違うのだろう?」「高いだけの価値はあるのだろうか?」と疑問に思うかもしれません。歯周病ケアにおいて、市販品と歯科専売品の歯磨き粉には、いくつかの明確な違いがあります。その違いを理解することは、より自分の目的に合った製品を選ぶ上で役立ちます。まず、最も大きな違いの一つが「コンセプトと配合成分」です。市販の歯磨き粉は、幅広い層の多様なニーズに応えるため、爽快感や香り、ホワイトニング効果など、多くの人が好む使用感やプラスアルファの機能を重視して開発される傾向があります。一方、歯科専売品は、歯科医師や歯科衛生士が専門的な立場から患者さんに推奨することを前提に作られています。そのため、歯周病や虫歯、知覚過敏といった特定の症状の予防や改善に、より特化した処方になっているのが特徴です。例えば、歯周病ケアに特化した製品であれば、殺菌成分や抗炎症成分の種類や組み合わせに、専門的な知見に基づいたこだわりが見られます。また、薬機法上の規定により、特定の有効成分を市販品よりも高濃度で配合できる場合があります。代表的なのが「フッ素」で、高濃度のフッ素は虫歯予防効果が高いとされていますが、歯周病によって露出した歯根は酸に弱く虫歯になりやすいため、こうした高機能な成分が含まれていることは大きなメリットです。さらに、「研磨剤」や「発泡剤」の配合に対する考え方も異なります。歯科専売品には、患者さんが時間をかけて丁寧にブラッシングを行うことを妨げないよう、研磨剤の配合を抑えた「低研磨性」や、泡立ちを抑えた「低発泡」の製品が多く見られます。これは、爽快感よりも、確実なプラークコントロールを優先するという専門的な思想の表れです。もちろん、市販品にも優れた歯磨き粉は数多く存在します。必ずしも歯科専売品でなければならないわけではありませんが、より専門的で効果的なケアを求めるのであれば、かかりつけの歯科医院で自分の症状に合った専売品を相談してみる価値は十分にあると言えるでしょう。
市販と歯科専売の歯周病歯磨き粉の違い