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歯髄炎を未然に防ぐための生活習慣
あの耐え難い歯髄炎の激痛は、誰しも経験したくないものです。そして、その苦しみを避けるための最も確実な方法は、歯髄炎そのものにならないように「予防」することです。歯髄炎の最大の原因は、進行した虫歯です。つまり、日々の生活の中で、虫歯を徹底的に予防する習慣を身につけることが、歯髄炎から自分自身を守るための最善策となるのです。その基本は、やはり毎日の「丁寧な歯磨き」に尽きます。虫歯の原因となる歯垢(プラーク)を、いかに口の中から除去できるかが鍵となります。歯ブラシの毛先を、歯と歯茎の境目や、歯の溝にしっかりと当て、優しい力で小刻みに動かして磨きましょう。しかし、どれだけ丁寧に歯ブラシで磨いても、歯と歯の間には汚れが残ってしまいます。この歯間こそが、虫歯の好発部位です。デンタルフロスや歯間ブラシといった補助清掃用具を、毎日のケアに必ず取り入れてください。この一手間が、あなたの歯の運命を大きく左右します。また、使用する歯磨き粉も、虫歯予防効果の高い「フッ素」が高濃度で配合されたものを選ぶのがおすすめです。フッ素には、歯の再石灰化を促進し、歯質を強化して酸に溶けにくい歯を作る働きがあります。次に重要なのが「食生活の管理」です。砂糖を多く含むお菓子や飲料を、だらだらと時間を決めずに摂取する習慣は、口の中を常に虫歯になりやすい酸性の状態に保ってしまい、非常に危険です。間食は時間を決めて摂り、食べた後は歯を磨くか、せめて水で口をゆすぐ習慣をつけましょう。そして、どんなに完璧なセルフケアを行っていても、自分では気づけない場所に虫歯の芽が生まれていることがあります。それを発見し、大事に至る前に治療するための最後の砦が「定期的な歯科検診」です。痛みなどの自覚症状がなくても、半年に一度は歯科医院を訪れ、専門家によるチェックとクリーニングを受けるようにしましょう。初期の虫歯であれば、削る量も少なく、もちろん神経を抜くことなく治療が完了します。日々の正しいセルフケアと、プロによる定期的なメンテナンス。この二つの車輪をしっかりと回し続けることが、歯髄炎の苦しみからあなたを遠ざける、最も確実で賢明な道なのです。