「歯石取りは痛い」というイメージから、歯科医院でのクリーニングを躊躇している方は少なくありません。キーンという機械音や、歯をガリガリと削られるような感覚を想像して、つい足が遠のいてしまう気持ちも分かります。しかし、現代の歯石除去は、患者さんの快適性を最大限に考慮して行われており、その痛みや不快感は、様々な工夫によって大幅に軽減されています。まず、歯石除去で痛みを感じるかどうかは、その人の歯茎の状態に大きく左右されます。歯茎が健康で、歯石が歯の表面に付いているだけの場合は、痛みを感じることはほとんどありません。少し歯が振動するような感覚や、水がしみるような感覚がある程度です。痛みを感じやすいのは、歯周病が進行し、歯茎が炎症を起こして腫れていたり、知覚過敏があったりする場合です。炎症を起こしている歯茎は非常にデリケートなため、器具が触れただけでも痛みを感じることがあります。また、歯茎が下がって歯の根が露出していると、超音波スケーラーの水がしみやすくなります。しかし、そのような場合でも、歯科医師や歯科衛生士は、患者さんの様子を見ながら、超音波スケーラーのパワーを調整したり、より刺激の少ないハンドスケーラーに切り替えたりと、できるだけ痛みを感じさせないように細心の注意を払って処置を進めます。それでも痛みが強いと予想される場合や、歯周ポケットの奥深くの歯石を取るような、より侵襲の大きい処置を行う際には、ためらわずに「麻酔」を使用します。注射による局所麻酔だけでなく、歯茎の表面に塗るジェル状の表面麻酔などもあり、これらを適切に使うことで、処置中の痛みはほぼ完全に取り除くことが可能です。大切なのは、痛みを我慢しないことです。「痛い」「しみる」と感じたら、遠慮せずに手を挙げるなどして、術者に伝えてください。我慢して体に力が入っていると、かえって痛みを感じやすくなることもあります。歯石除去は、歯周病という、将来歯を失うかもしれない病気を防ぐための大切な治療です。痛みを過度に恐れず、安心してプロに任せてほしいと思います。むしろ、歯石を放置した結果として起こる、歯周病の激しい痛みの方が、何倍も辛いものなのですから。