幼い頃から周囲の人たちに可愛いと言われ続けてきた私の八重歯ですが、実はそれが単なる「可愛い個性」ではなく、本来は正しく並ぶべき犬歯が居場所を失った結果であることを知ったのは、社会人になってからの歯科検診がきっかけでした。鏡を見るたびに誇らしく思っていたあの尖った歯が、実は3番目の歯である犬歯がスペース不足で外に飛び出した状態であると指摘された時、私は大きな衝撃を受けました。歯科医師の説明によれば、犬歯は永久歯の中で最も遅い時期に生え変わることが多いため、前後の歯が先に場所を占領してしまうと、どうしても外側に逃げるしかなくなってしまうのだそうです。私の顎は小さく、1本1本の歯が大きかったため、標準的な歯列のカーブに収まりきらなかったのが八重歯の真実でした。先生は優しく教えてくれましたが、犬歯と八重歯の違いは、例えるなら「選手の名前」と「ベンチからあふれている状態」のようなものだと言います。犬歯という優秀な選手が、本来の打席に立てずに外野のさらに外に追いやられているのが今の私の口の中なのだと理解しました。それまでは、八重歯は特別な形の歯が生えてきているのだとばかり思い込んでいましたが、実際には隣の歯と同じような構造を持つ普通の犬歯が、ただ不運な配置に甘んじているだけだったのです。さらに驚いたのは、この八重歯のせいで他の歯に悪影響が出ているという事実でした。犬歯は本来、噛み合わせた時に最初に当たることで奥歯を守るクッションのような役割を果たすそうですが、私の八重歯は完全に浮いているため、その役割を全く果たせていませんでした。その結果、まだ20代であるにもかかわらず、奥歯の表面が少しずつ削れ始めているという警告を受けました。見た目の可愛さと引き換えに、私の口内の健康は少しずつ蝕まれていたのです。この体験を通して、私は犬歯という存在の重要性と、八重歯という状態が抱えるリスクを痛感しました。八重歯を治すことは、自分の個性を消すことではなく、本来の犬歯にあるべき機能を取り戻してあげることなのだと考えるようになり、現在は矯正治療を検討しています。かつては誇りだった八重歯ですが、今はその中身である犬歯を大切にし、10年後や20年後も健康な噛み合わせでいられることを何よりも優先したいと考えています。