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2026年1月
  • 歯科医が語るリステリンの賢い活用術

    医療

    歯科医として日々の診療に携わっていると、患者さんからリステリンをはじめとするマウスウォッシュの効果や使い方について、多くの質問を受けます。結論から申し上げると、リステリンは「正しい知識を持って、賢く活用すれば」日々のオーラルケアを格段に向上させる非常に有効なツールです。しかし、その一方で、その効果を過信し、使い方を誤ると、かえって口腔環境を悪化させる危険性もはらんでいます。まず、大前提として絶対に忘れてはならないのは、オーラルケアの基本の「き」は、あくまで「機械的清掃」であるという事実です。つまり、歯ブラシによるブラッシングと、デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間清掃です。虫歯や歯周病の根本原因である歯垢、すなわちバイオフィルムは、物理的にこすり落とさなければ絶対に除去できません。リステリンを使っているからといって、この最も重要なステップをおろそかにしては、全く意味がないのです。では、歯科医の視点から見たリステリンの価値はどこにあるのでしょうか。それは、「化学的清掃」、すなわち液体によって、歯ブラシでは届かない広範囲の細菌をコントロールできる点にあります。私たちの口の中は、歯の表面積が全体の約25パーセントに過ぎません。残りの75パーセントは、舌や頬の粘膜、歯茎といった柔らかい組織です。歯磨きで歯をきれいにしても、これらの粘膜には無数の細菌が残存しており、それらが再び歯の表面に付着したり、口臭の原因となったりします。リステリンは、この広大な粘膜表面に付着した細菌を殺菌し、口内全体の細菌叢のバランスを整える上で、非常に大きな役割を果たします。私は患者さんに、リステリンを「口全体の細菌に対する、液体による絨毯爆撃のようなもの」と説明することがあります。ブラッシングが局地戦だとしたら、リステリンは口内全域をカバーする広域作戦です。この二つを組み合わせることで、より完璧に近い口腔衛生状態を目指すことができるのです。リステリンに頼り切るのではなく、丁寧なブラッシングという基本を徹底した上で、その効果を補強し、完成させるための強力な補助剤として活用すること。これが、歯科医が推奨する最も賢いリステリンとの付き合い方です。