未来を切り拓くのは、いつも歯医者

2026年2月
  • 歯がないせいで噛み合わせが崩れて痛む?

    医療

    たった一本、奥歯がないだけ。そう軽く考えて放置していると、口の中ではドミノ倒しのように、全体の「噛み合わせ」のバランスが静かに、しかし確実に崩壊していきます。そして、その結果として、歯がない部分やその周辺、さらには顎全体に痛みが生じることがあります。私たちの歯は、上下左右の歯が精密に組み合わさり、物を噛む力をバランス良く分散させることで、その機能を果たしています。奥歯が一本なくなると、まず、その歯と噛み合っていた相手の歯(対合歯)が、噛み合う相手を失って、空いたスペースに向かって伸びてきます。この現象を「挺出(ていしゅつ)」と呼びます。伸びてきた歯は、下の歯茎に直接当たって痛みを生じさせたり、顎を横に動かした時に他の歯と不自然にぶつかるようになったりして、痛みや違和感の原因となります。また、歯がなくなったことで、これまでとは違う顎の動かし方をしないと物が噛めなくなり、顎の関節や、顎を動かす筋肉(咀嚼筋)に無理な負担がかかるようになります。これが、顎関節症を引き起こす大きな要因となるのです。顎関節症の症状は、「口を開けるとカクカク音が鳴る」「口が大きく開けられない」などが有名ですが、「顎の関節や筋肉の痛み」も代表的な症状です。この痛みは、耳の前あたりや頬、こめかみなど、顎の周辺に現れますが、人によってはそれを「歯がない奥歯のあたりが痛い」と認識してしまうことがあります。さらに、噛み合わせのバランスが崩れると、残っている他の歯にも過剰な負担がかかり始めます。特に、歯がない部分の隣の歯は、空いたスペースに倒れ込んでくるため、不自然な角度で強い力を受け続けることになり、歯の根の周りの組織が炎症を起こして痛むことがあります。このように、歯が一本ないという事実は、単にその場所で噛めないという問題に留まらず、口の中全体の構造的な歪みを生み出し、様々な場所に痛みを引き起こす引き金となるのです。