ドライソケットになってしまった時、患者さんが最も知りたいのは、「この耐え難い痛みは、一体いつまで続くのだろうか」という、出口の見えないトンネルの長さでしょう。その治癒期間と痛みの経過は、症状の重さや、適切な治療を受けたかどうかによって大きく異なりますが、一般的な目安を知っておくことは、精神的な不安を和らげる上で役立ちます。まず、歯科医院で適切な処置(洗浄や薬剤填入など)を受けなかった場合、つまり「放置した場合」の経過です。抜歯後3〜5日目あたりから始まった激しい痛みは、1週間から10日後頃にピークを迎えます。この強烈な痛みは、個人差はありますが、おおよそ「2週間程度」続くことが多いとされています。その後、剥き出しになった骨の表面を、周囲の歯肉から新しい組織(肉芽組織)が、ゆっくりと時間をかけて覆い始めることで、徐々に痛みは和らいでいきます。しかし、痛みが完全に消失し、抜歯窩が歯肉で完全に埋まるまでには、「1ヶ月以上」の長い期間を要することもあります。治癒のプロセスが、正常な場合に比べて、大幅に遅れてしまうのです。一方、ドライソケットの症状に気づき、早期に歯科医院で「適切な治療を受けた場合」、痛みの経過は大きく変わります。抜歯窩の洗浄と薬剤の填入という処置を受けると、多くの場合、その日のうち、あるいは翌日には、痛みが劇的に和らぐのを実感できます。薬剤が、剥き出しになった骨を外部の刺激から守ってくれるからです。もちろん、一度の処置で完全に痛みがなくなるわけではなく、症状が落ち着くまで、数日間隔で、2〜3回程度の通院が必要になることが一般的です。しかし、通院のたびに、痛みは着実に軽減していきます。激しい痛みに悩まされる期間は、適切な治療を受けることで、数日から1週間程度にまで、大幅に短縮することが可能です。そして、最終的な治癒までの期間も、放置した場合に比べて短縮されます。痛み止めが効かないほどの激痛に、何週間も耐え続ける必要はありません。ドライソケットの痛みは、我慢するものではなく、治療によってコントロールするものです。早めに専門家の助けを借りることが、辛い期間を最短で乗り切るための、最も賢明な選択なのです。