ドライソケットと診断され、歯科医院で処置を受けた後も、次の通院日まで、あるいは夜間に、再び痛みがぶり返してくることがあります。処方された痛み止めも、気休めにしかならないほどの激痛。そんな時、少しでも痛みを和らげ、辛い夜を乗り切るために、自分でできるセルフケアを知っておくことは、精神的なお守りにもなります。まず、基本となるのが、処方された「痛み止め(鎮痛剤)の正しい服用」です。歯科医師の指示通り、用法・用量を守って服用しましょう。ここでポイントなのが、「痛みが我慢できなくなってから飲む」のではなく、「痛みが強くなりそうだと感じたら、早めに飲む」ことです。血中の薬物濃度が一定に保たれ、痛みのピークを抑えやすくなります。次に、痛む部分を「冷やす(アイシング)」ことも有効です。ただし、急性期のようにガンガンに冷やすのではなく、心地よいと感じる程度に、優しく冷やすのがポイントです。濡れタオルや、タオルで包んだ保冷剤などを、頬の外側から、15分程度当ててみましょう。冷たさで神経が麻痺し、痛みが少し和らぎます。長時間の冷却は血行を悪くし、治癒を妨げる可能性があるので、注意してください。また、意外と重要なのが「体の向き」です。横になる際は、痛む方を下にせず、上にして寝るようにしましょう。痛む方を下にすると、その部分に血液が溜まって圧迫され、ズキズキとした拍動性の痛みが強くなることがあります。枕を少し高くして、頭の位置を心臓より高く保つのも、うっ血を防ぐ上で効果的です。食事は、抜歯窩を刺激しないように、柔らかく、栄養のあるものを、痛くない反対側の歯で噛むようにしましょう。おかゆやスープ、ゼリー、ヨーグルトなどがおすすめです。そして、何よりも大切なのが「口腔内を清潔に保つ」ことです。痛いからといって歯磨きを怠ると、細菌が繁殖し、痛みを悪化させます。抜歯窩の周辺は避け、他の歯は、柔らかめの歯ブラシで優しく丁寧に磨きましょう。食後は、刺激の少ない洗口液で、そっと口をゆすぐのも良いでしょう。これらのセルフケアは、ドライソケットそのものを治すものではありません。しかし、専門的な治療の効果を助け、地獄のような痛みの期間を、少しでも快適に乗り切るための、力強い味方となってくれるはずです。