抜歯後の痛みは、通常、抜歯当日がピークで、その後2〜3日かけて徐々に和らいでいくのが一般的です。しかし、ドライソケットの痛みは、全く異なる経過をたどります。その特徴的な痛みの推移を知っておくことは、自分の症状がただの術後痛なのか、それともドライソケットなのかを判断する上で、非常に重要な手がかりとなります。ドライソケットの症状は、抜歯直後から現れるわけではありません。抜歯当日や翌日は、麻酔が切れた後の通常の痛みがあり、処方された痛み止めでコントロールできることがほとんどです。そのため、最初は順調に回復しているように感じます。しかし、問題が起こるのは、抜歯から「3日目から5日目」あたりです。この時期になると、本来であれば痛みが引いてくるはずなのに、逆に、ズキズキとした、脈を打つような、これまでとは質の違う激しい痛みが現れ始めます。これが、ドライソケット発症のサインです。この痛みは、血餅が剥がれ、抜歯窩の骨が口腔内に露出し始めたことで生じます。そして、この痛みは、発症から数日間、ますます強くなっていきます。痛みの「ピーク」は、一般的に抜歯後「1週間から10日」あたりで迎えることが多いとされています。この時期は、処方された痛み止めがほとんど効かなくなり、夜も眠れないほどの激痛に悩まされる、最も辛い期間です。痛みは、抜歯した部分だけでなく、顎全体、こめかみ、耳の奥、さらには頭痛として感じられることもあります。また、抜歯した穴を覗くと、通常見えるはずの黒っぽい血餅がなく、白っぽい、あるいは黄色っぽい骨のようなものが見え、強い口臭を伴うのも、この時期の特徴です。適切な治療を受けずに放置した場合、この激しい痛みは、長い人では2週間以上続くこともあります。その後、剥き出しになった骨の上に、新しい歯肉がゆっくりと時間をかけて盛り上がってくることで、徐々に痛みは和らいでいきますが、完全な治癒までには1ヶ月以上かかることも珍しくありません。抜歯後、数日経ってから痛みがぶり返し、日に日に強くなる。この典型的な経過に当てはまる場合は、我慢せずに、すぐに抜歯をしてもらった歯科医院に連絡し、診察を受けるようにしてください。
ドライソケットの痛みのピークはいつ?症状の経過