インターネットの口コミサイトや質問掲示板などで、時折「リステリンは酸性だから、使い続けると歯が溶ける」といった趣旨の書き込みを見かけることがあります。強力な刺激と殺菌効果を持つ製品だけに、こうした噂に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、結論から先に述べると、この噂は科学的根拠に乏しい誤解であり、推奨されている通常の使用方法を守っている限り、リステリンが歯を溶かす(酸蝕歯を引き起こす)心配はまずありません。この噂の根拠となっているのは、おそらく製品の「pH(ペーハー)」に関する知識でしょう。私たちの口の中は通常、pH6.8から7.0程度の中性に保たれています。しかし、飲食物に含まれる酸などによってpHが酸性に傾き、歯の表面のエナメル質が溶け出す臨界pHである5.5を下回ると、歯のミネラルが溶け出す「脱灰」という現象が始まります。これが酸蝕歯の原因です。リステリンの一部の製品のpHは、4.0から5.0程度と、確かに酸性側にあります。しかし、この事実だけで「歯を溶かす」と結論づけるのは、あまりにも早計です。まず、リステリンを口に含んでいる時間は、推奨されている使用方法でわずか30秒間です。この短時間で、硬いエナメル質が目に見えて溶けるようなことはあり得ません。さらに重要なのが、私たちの口の中に備わっている「唾液の緩衝能」という素晴らしい機能です。唾液には、酸を中和し、口の中のpHを素早く中性に戻す働きがあります。酸性のリステリンを口に含んだとしても、吐き出した後には、大量の唾液によって口の中は速やかに中性に戻されます。日常的に摂取している炭酸飲料や柑橘系のジュース、酢の物などの方が、よほどpHが低く、口の中に留まる時間も長いことを考えれば、30秒間の使用がいかに歯に対して安全であるかがお分かりいただけるでしょう。もちろん、リステリンを長時間口に含み続けたり、1日に何十回も使用したりといった極端な使い方をすれば、何らかの影響が出る可能性はゼロではありませんが、それはあらゆる製品について言えることです。定められた用法用量を守って正しく使用する限り、リステリンは歯を溶かすどころか、虫歯や歯周病から歯を守る、非常に有益な味方なのです。
リステリンは歯を溶かすという噂は本当か